上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 
 そんな事があった日の夜。学園都市第七学区のとある裏通りに入った男がガラの悪そうな不良達に囲まれていた。
 男はスーツ姿で派手なシャツを身に纏い、長身で顎髭を生やしているが整った顔立ちをしている。派手なシャツに引けをとらない明るい茶髪を後ろに上げ、傍から見たらスキルアウトのリーダーの様な風貌を漂わせているが、どうやらそういうわけでもないらしく対立しているようだ。
 周りの不良達はニヤニヤと笑みを浮かべて各々の武器を取り出すが、男が表情一つ変えずに話し出した。

「おいおい。道を聞いているだけじゃないか。そんな荒くならないでくれ」

 男はそのダンディな顔立ちから想像出来ない明るい口調で、軽く両手を挙げ静止を求める。
 しかし相手が不良で、しかも数人溜まっている連中ともなれば数の利を生かされているので聞く耳を持つはずもなく、連中は男が逃げ出さないように周りを囲みながら獲物を向けてヘラヘラと笑っている。
 はぁ、と男は溜息を吐くと目の前にいた連中のリーダー格の男が一歩前に出た。

「なぁ、おっさん。教えて欲しけりゃ情報料として有り金全部置いていけや。まぁもっとも嫌と言っても金は無くなる事になるけどな」

 リーダーの言葉に周りの連中もどっと笑い出し腹をかかえる。生憎裏通りでしかも時間帯も夜なので人気が少なく、助けを呼ぶ事も出来ないようだ。
 男は挙げていた両手を腰に掛け、やれやれといった表情で頭を振った。

「わかったよ。他をあたらせてもらうよ」
「おおっと。嫌でも金は置いてってもらうっつったろーが!」
「どうして?」
「はぁ? …あー、もういいよ。さっさとやっちまおうぜ」
「おぉ。悪いな、おっさん」
「さっきからおっさんおっさんって。少し失礼じゃないか? うん?」
「うるせぇんだよっ! とりあえず死んどけっ!」

 そう言って一人の不良が男目掛けて獲物を振るうが、男は軽く避け足を掛ける。それを見た他の仲間達も畳み掛けるが、男には寸前の所で当たらない。

「はぁっ、はぁ…! こ、この野郎…っ! ちょこまか逃げ回ってんじゃねぇぞ!」
「そんなので殴られたら痛いでしょう。いい加減そんなの振り回すのはやめなさい」
「うっ、うるっ……せっ!!!」
「おぉっと…、むぅ。しかしこれじゃいつかはやられてしまうな」

 男はそうと考えてると、その場に陽気な声で話しかけてくる一人の少年が現れた。

「あぁ、いたいた。すみませんねぇ…、待たせてしまって」

 夜の裏通りで不良に囲まれてる人にこんな風に話しかけるお人よしな少年なんか、上条当麻くらいしかいないのだが。


「なんだぁテメェは!? こいつの連れか?」
「まぁ、そういう事です。つーわけで、失礼しましたー」

 上条は幾多もこのようなシチュエーションを繰り返しているために、その場でのやりとりにとても慣れていた。
 こういう時はさっさと逃げるに限るのだ。変に騒ぎを起こしても面倒臭くなるだけだから。
 しかし、今の彼は覚えていないが一回だけこのパターンで失敗したケースがある。そのケースとは―――

「誰だ? 君は」
「…あぇ?」

 上条は男の手を取りスタスタと歩いていこうとしたところでそう言われて固まった。その昔、御坂美琴を不良達から庇ってあげようとした時と同じ反応を返されて。

「ちょっ! 話を合わせてくださいよ! 知り合いのふりをして自然にこの場から逃げ出す作戦が台無しじゃないですか!」
「え? あ、そういう事だったのか。いやぁ、すまんすまん。わっはっは」
「あはは…、は?」
「…」
「えぇっと…」

 二人の周りにはとても怖い顔をしたお兄さん方が獲物をペチペチを叩きながら待ち構えている。
 上条はその光景に「不幸だ…」と漏らすが、先程も言った様にこのようなシチュエーションには慣れているのだ。
 だから―――


  たたかう
  でんわ
  せっとく
 →にげる ピッ


「失礼しましたぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」
「うおっ!」
「あ、まっ待ちやがれぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」

 男の手を引いて全力で逃げる事にした。


 数分後、不良達から逃げ回った二人は息を切らせて今日美琴から告白を受けた公園のベンチに腰掛けていた。
 上条からしてみれば、こんな事は日常茶飯事なので軽く息を切らせているだけだったが、派手シャツの男は相当に疲れたらしく膝に肘を付いて俯いている。
 上条はその男を見ると徐に立り上がり自販機まで走って飲み物を買ってくると「学園都市製なので変わった味しかありませんが」と言い男に飲み物を差し出した。
 男は上条から飲み物を貰うと、一気に飲み干しカァーっと息を吐き出す。男はそれで大分生き返ったのか立ち上がり、礼を言った。

「いやはや、助かったよ。あの人数を撒けるなんて君も相当の場を越えてきたみたいだね」
「ははは。俺は毎日のように追われてますので」
「毎日? 君が追われるような事をする人間には見えないし…、ひょっとして今日みたいに助けに入ってるのかい?」
「えっと…助けるとかそんな大げさな事じゃないですよ。ただ見てられなかっただけです」
「……はっはっは。いやいや、今時の若いのにも君の様な子がいるなんてね。でも本当に助かったよ。ありがとう」
「いえ、いいですよ。俺が勝手にやったことなんで」
「うぅむ。そうは言ってもな。何かお礼を…、君時間ある? 夕食でもご馳走しよう」
「いやいや! ホントに大丈夫ですって!」
「む。人の恩義を受け取れないと?」
「あ、いえ…、そういうわけでは…」
「では行こうか。…と言っても実を言うとここの地理にあまり詳しくないんだ。案内してくれるかな? 君が行きたい所ならどこでもいいからさ」
「はぁ…。じゃあファミレスかどっかにでも…」

 上条は缶を捨てると男を連れて、公園を後にした。
 街中は完全下校時刻が過ぎているために人気があまり無く、街頭が点いているだけだった。
 上条がなぜこの時間に外に出歩いていたかと言うと、寮に帰り夕食を作ろうとしたまではいいが、何故か買ってあった食材が綺麗さっぱり無くなっており、テーブルの上に「こもえのところで鍋パーティーやるから色々と持っていくんだよ」と書かれたメモが置いてあった。
 上条はそのメモを見た瞬間に発狂し、それで仕方なくコンビニでも行って買い物をしようとしたらしい。
 その時に、裏通りから声が聞こえたので覗いたら――と、いうのが今までの流れだ。

 上条はしばらく歩くとファミレスを見つけ、男の了解を得て入っていった。
 完全下校時刻が過ぎていると言ってもまだまだ深夜ではないため、ちらほらと客が入っており、ガラの悪そうなのもいる。
 男は「タバコは吸わないから好きなところでいいよ」と言い、上条を適当に座らせた。

「さてとじゃあ頼もうか。えっと…、あぁ、ごめんごめん。まだ名前を聞いてなかった」
「あ、上条です。上条当麻」
「え? 上条…、当麻…くん?」
「はい。そうですけど…、何か?」
「もしかしてお父さんは刀夜って名前?」
「父さ…、父を知ってるんですか?」
「あぁやっぱりね! うんうん。ちょっと海外で偶然知り合ってね。はぁー、なるほどなるほど。そういえばどこか面影があるな」
「海外…」
「うん。実は俺は世界を渡り歩いて仕事をしているんだ。そこで意気投合してね」
「す、すごい偶然ですね」
「くっくっく…、それがね。もっとすごい偶然があって俺の妻も君の事知ってるみたいなんだよね」
「マジですか。何か偶然という枠越えちゃってますね。…って、俺の事知ってる? っていうと高校のクラスメイトのお母さんとかですか?」
「いいや。俺には娘がいるんだが、まだ中学生だよ」
「じゃあ違うか。……ん?」
「ん? どうしたの?」
「あれ…。あの? まさかとは思いますけど…、その中学校って?」
「あぁ、学舎の園にある常盤台中学だよ。そこの二年生」
「…」

 上条の時は止まった。
 いやいやまさか。世界って広いだろ? 今の地球上には何億の人がいると思ってるんだ。その何億分の2が偶然出会った? いや、待て。まだだ。まだ終わらんよ。まだこの人があいつの父親と決まったわけではない。で、でもこの茶髪…常盤台…二年生…。
 上条はあまりの偶然にまた知恵熱を出し、うーんと唸っている。
 男はウエイトレスが持ってきた水を飲んでいるが、上条の唸る姿を見て不思議そうに話しかける。

「…上じょ、当麻くんの方がいいかな。どうしたんだ?」
「す、すみません。ちょっとめまいが。あのひょっとしてですけど、あなたの苗字…『御坂』じゃないですよね?」
「おお。大当たりだよ」
「うわ…」
「初めまして、俺は旅掛。多分君が言ってる御坂美琴の父親の、御坂旅掛だ。よろしく」

 上条の時は再び止まった。母親に続いて父親にまで会うとは。
 これはもう偶然ではなく必然なのではないだろうか?
 実は自分と御坂は生まれた時から幻想殺しでも打ち破れない運命の赤い糸か何かで繋がれていて、今まで起こった出来事は全て運命のいたずらで、最終的に二人はめでたく結ばれてハッピーエンド! …って、まさかな。
 上条が口をパクパクさせているのが面白かったのか、旅掛は笑い「今日は私の奢りだから好きなのを頼みなさい」とメニューを差し出した。
 上条は偶然にも程があると冷や汗をかいたが、一応は美琴の父親なので失礼のないように明るく振舞う。
 どうやら旅掛は、少し休暇が出来たので妻子に会いに日本に帰ってきているらしい。美琴を呼び出した方が早いのだが今日は遅いし、明日にでもサプライズとして驚かせたいようだ。
 しばらくして二人は料理を選び終わると、ウエイトレスを呼んで注文する。
 上条は旅掛の奢りだと言われていたが、何とも言えない恐怖でパスタ一品だけにした。

「当麻くん高1なんだろ? パスタだけで足りるの?」
「は、はひっ! ぜ、全然足りますっ! いつもあまり食べてないのでっ!」
「まだまだ育ち盛りなんだから食べないとダメだ。体細いしな。でも喧嘩は強いんだって?」
「え? ど、どどどこでそのような情報を…」
「妻から聞いたんだよ。多分娘を問い詰めて白状させたんだろうけど」
「御坂…っ」
「はは。色々聞いてるよ。何でも娘の心を奪っていったんだとか」
「ぶぅぅぅぅぅぅ!!! なっ、ななな…何を言い出しますか、急に!?」
「はっはっは! 俺の前だからって変な気を使わないでもいいよ。確かに今日の当麻くんを見てたら娘が何で惚れたのかが分かるからね」
「そっ、そんな事は…」

 上条はその一言で今日学校の帰り道で起こった美琴の意味深な言葉を思い出す。
 そういえば明日あいつの夢を聞いてあげる約束をしたような…。
 
「はぁ。まぁ当麻くんは本当に鈍感なようだからね。娘が不憫に思えてきたよ」
「え、えっと…」
「あぁ。ごめんごめん。別に君を悪く言ってるつもりはないんだ」
「そ、そうなんですか」
「妻がね言ってたんだよ。一時期の美琴はとても暗かったって。でも当麻くんと会うようになってから見違えるように元気になったってね」
「あ…そ、それは」
「でもそれが何なのかは私は聞かない。けど心あたりがあるなら今日の事と合わせて改めて御礼を言わせてもらうよ。どうもありがとう」
「い、いえ…そんな。その事も俺が自分でやった事ですから」
「一個だけ聞くけど…どうして娘の為に?」
「えっと、その……聞えた気がするんです。あいつの声が。とても悲しそうで、いつもは強がってるけど助けを求めてる声が」
「そうか。色々世話になったようだ」
「いえ。さっきも言いましたけど、俺が、好きでやったことですから」
「ではこの話はもうお終いにしようか。せっかく一緒にごはんを食べるんだ。楽しくいかないとな!」
「はい」

 上条と旅掛は料理が来ると、世間話などで盛り上がっていた。
 上条は学園都市であった行事の事や美琴とのやりとりの事。旅掛は世界で起こってる事や刀夜との出会った時の事。
 二人は今日初めて会ったとは思えない程、話題が尽きる事なく楽しい時間を過ごした。
 しばらくして食事を取り終わるとウエイトレスが食器を下げ、テーブルには水の入ったコップと旅掛が頼んだコーヒーだけになった。
 旅掛はそのコーヒーに一口つけると上条に真剣な眼差しを向ける。
 上条はその目に圧倒され、何かマズイ事でもしてしまったのかと鼓動が早くなるのを感じた。

「当麻くん」
「は、はひ?」
「私は美琴の父親だ」
「は、はい。知ってます…けど」
「親というのは自分の子供の心配をするものだ」
「は、はい。…あの、御坂の心配…ですか?」
「うむ。正確には美琴と当麻くんの心配だ」
「お、俺と…御坂? それは一体どういう…」
「恥ずかしい話だが、私は日本にいる事が少なく娘も学園都市に預けているため父親らしい事は何もしてあげれていない」
「は、はぁ…?」
「それは妻も一緒だが、私たちは出来るだけ娘には幸せになってもらいたいんだ」
「それは、分かりますよ。親が子の幸せを願うのは…、まぁ俺が言うのも何ですが、当たり前…というか」
「では娘の幸せとは何か?」
「み、御坂の幸せ…!? え、えっと…それは…」
「ん? 何か心あたりがあるようだね」
「…えっと」
「それは聞かないでおくよ。まぁ、何が言いたいかというとだね。娘は今、本当に今の生活を楽しんでいるのかということだ」
「今の、生活?」
「娘は今や学園都市で第三位まで昇っていったが、しかしそれと同時に支えてくれる何かが無くなってしまったんだよ」
「御坂を支える…なにか」
「第三位ともなれば人から尊敬もされるだろう。しかし娘もまだ14だ。力で強くなっても心までは急には強くなれない。自分が弱ってもそれを支える何かが無ければ娘は無理と分かっていても自分を犠牲にし、他人を守ろうとするだろう。しかし、そんなのは絶対にダメだ」
「それは…、わかります。そんなので助けられても絶対に嬉しくないですよ。あいつに初めて会った頃にそれを感じました」
「…ふむ」
「偽善とか矛盾とか思われるかもしれませんが、俺はそんな御坂は見たくないです。だから御坂に危険が迫れば助けたいですし、一緒にいてあげなきゃって思う時もあります。それに俺、ある人と約束をしてるんです。御坂美琴を守るって。彼女の周りの世界を守るって」
「それはその人に言われたからかい?」
「…いえ。俺は多分ただあいつが心配なんです。その…、上手くいえませんけど」
「そうか。…当麻くん。君は十分に娘の、美琴の心の支えになっているようだ」
「え? そ、そうなんですかね」
「あぁ。そうだとも。ところで当麻くん? 君に一つ聞きたい事があるんだが、いいかな?」
「? 何でしょうか?」

 旅掛はそう言うとまたコーヒーに口をつける。仕事で海外にいるのが多いためか日本のコーヒーは少し口に合わない。ビールはうまいんだけどなぁと思う。
 そして水面に浮かぶ泡を目で追い、目当てにしていた大きめの泡が割れたのを確認すると上条に視線を戻した。

「世界に足りないものは何だと思う?」
「え? えっと…、うーん…」
「あまり深く考えないでいいよ。思いついたものをポロっと言ってくれて構わない」

 上条はそう言われてもなぁと考えたが、とりあえずこうあったらいいと思うの事を言うことにした。

「笑顔、じゃないですか?」
「ほぅ…」
「あ、あれ? 違います…? う、うわぁ…」

 上条は旅掛の反応が薄かったので質問の答えがくさかったのかと顔を赤くして俯いてしまった。
 そんな旅掛だが、実は上条の答えに正直度肝を抜かれていた。
 まだ16歳の高校一年生に、即興で出した質問にこれからの美琴が、世界が必要としている答えを言ってのけたのだから。正確には自分と限りなく近い答えだったから。
 聞けばこの上条当麻という少年。幾度か海外を飛び回り、学園都市からいなくなると言う。そしてそれは自分が求められるなら、どんな時でも行ってあげたい、とも。
 上条は依然として顔を伏せているが、そんな上条に旅掛は満面の笑みを浮かべて右手を差し出した。
 上条はその手と旅掛の顔を交互に見て、えっ?えっ? と混乱しているが、恐る恐る右手を添えると旅掛は満足したように頷き強く握ってきた。

「当麻くん! 君は最高の男だ! 実に気に入った!」
「は、はぁ…? そ、それはどうも…ありがとうございます?」
「ところで当麻くん。君明日は暇かね? 時間取れないかな。また食事がしたい」
「あ、明日ですか!? え、っと…その」
「ん? 何か用事があるのかい? 別に無理にとは言わないが」
「えっと…、両親が来るんです。食事でもご馳走しておげようと思って…」
「おぉ! 上条さんが来るのか! いやいや、久しぶりに話したいものだ」
「え? じゃ、じゃあ…ご一緒にどうでしょうか。み、御坂さん…」
「本当かい? いや何かすまないな。無理に言ったみたいで。あぁ、あともう知らない仲じゃないんだし、旅掛でいいよ。俺も当麻くんって呼んでるしね」
「そ、そうですか…じゃあ、その…、旅掛さん…」
「うんうん。いやぁ、奥さんも来るんだよね。楽しみだな」
「時間は昼過ぎって事になってるんですが…正確には決めてなくて」
「いいよいいよ。俺が無理に一緒するんだから合わせるから。携帯持ってるだろ? 電話なりメールなりで言ってくれればいいから」
「じゃ、じゃあ赤外線で連絡先を…」
「そうだね……おっ、きたきた。そうだ。折角だから妻と娘も呼んでいいかな? 上条さんには以前お世話になったからまた話がしたいって言っててね」
「え! み、御坂…と美鈴…じゃなかった、御坂のお母さんもですか」
「ダメ…?」
「(あ。でも確か御坂は夢を聞いてほしいって言ってたな。て言う事は親とかにも聞いて貰った方がアドバイスしてもらえるし…約束もすっぽかさなくて済む! ナイスアイデアだっ!)」
「?」
「あぁえっと…、御坂が俺に夢があるから聞いてくれって言ってきて…、それが丁度明日なんですよ。でも約束した時間に間に合うか分からないので食事の時に一緒に聞いてもらえたりしますか?」
「ん? 美琴ちゃんの夢? とっても興味があるな。是非聞きたい」
「じゃあ、全然いいですよ。うちの親にも言っておきますので! 御坂も沢山アドバイス貰えた方がいいでしょうし」
「本当か! いやぁ、流石当麻くんだね! 話が分かるなぁ!」
「いやぁ、あっはっは(あれ? でも俺に関する事って言ってた様な…、まぁいいか。うん)」
「じゃあそろそろお開きにしようか。今日は本当にありがとうな。久々に楽しく食事を取れたよ」
「いえいえこっちこそご馳走さまでした。すみません、大した事してないのに…」


 旅掛は上条とファミレスを出ると、連絡の約束を再度確認して別れた。
 11月という事もありスーツにシャツだけじゃ冷えるが、そんな事は苦にならないように笑いながら携帯を取り出すと明日の事で電話をかけ始める。
 まずは美鈴に連絡し明日の了解を得る。そして次は美琴。

 そんな美琴は今、寮の自室にてルームメイトの白井黒子と世間話…と言うか美琴が一方的に上条の事を楽しそうに話していた。
 白井は風呂上りなのか頭のリボンを解いており、その長い髪の毛を下ろしている。…耳につけているウォークマンからのイヤホンを隠すように。

「(ぐぐぐぐぐぐぐぐっ…、あ、頭が。頭がおかしくなりそうですわっ! あんな楽しそうに話されるなんてっ…! あ、あああああの…猿がっ!!!!)」
【黒子ぉ…、寂しいの。一緒に寝てよぉ…】(ウォークマンの中身。ちなみに合成。作・初春飾利)
「(はぁはぁはぁ…! もちろんですわっ! お姉さまぁ~~~~んっ!!!!)」
「でさぁアイツったらまた転んで卵割っちゃって…って、ん? 電話だ。……も、もしもし? 珍しいわね。どうしたのよ?」
『おぉ! 我が娘よ! おまえの目は確かのようだ!』
「はい? ちょっと、何を言って――」
『ところで明日時間あるかな? 実は今学園都市に来てるんだ。ごはんでも一緒にどうだ?』
「はぁ!? 今来てるの!? 連絡してくれれば迎えに行ったのに」
『いやいや。今着いたばかりでね。もう夜も遅いし、明日にしようかなと』
「あ、明日!? 明日はちょっと…、大事な用事があって……その」
『用事? あぁ、当麻くんに夢を聞いてもらうとかってやつか』
「えぇっ!? なっ…なななななななんで知ってんのよ!? しかも、とっととっ…当麻くんっ!?」
「(むっ…当麻くん? あの類人猿の事を話してますの?)」
【黒子ぉ…こっち向いて寝てよぉ。寂しいじゃない…】※ウォークマン
「(はぁはぁ…)」
『実は今まで当麻くんと一緒に食事をしててね。美琴ちゃんの夢聞くなら親にも聞いてもらった方がいいって』
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!! い、嫌よ嫌イヤッ! ふ、二人っきりじゃないと言いづらいって言うか…その、あうあうあうあう」
「(むっ…二人っきり、ですの? 明日? 一体何が…)」
【えへへ。黒子温かいね。私が寝るまでこうしてていいでしょ?】※ウォークマン
「(はぁはぁ…)」
『あぁ、あと当麻くんのご両親も来るからちょっとくらいお洒落してくるんだぞ?』
「はいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!?????? なっ…何でそんな事にっ!!!????????」
『いいからいいから。明日当麻くんから連絡貰ったら電話するからさ。昼くらいだって。しっかり準備しておくんだぞー?』
「えっ!? ちょっ、待っ―――」
『それじゃあねー』
「あ…」
【うぅぅ…黒子ぉ! 私やっぱり眠れないよぉ! お、お願い黒子…わ、私を―――】※ウォークマン
「(はぁ! はぁ! はぁ!)」
「ふにゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!」
「おっ、オネエざばばばばばばばっばばばばばばバババババばばばばばばばばばばばばばばばっ!!!!!!!???????????」
Secret

TrackBackURL
→http://pintakamikoto.blog134.fc2.com/tb.php/13-fae7491f
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。