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「一体いつまで待たせるのよ、あの馬鹿はーーーーーーーーーーーっ!!!!!」

 御坂美琴の怒りは頂点に達しようとしていた。
 今日は美琴が電撃プロポーズをした翌日の11月23日。美琴は婚約者上条当麻を公園の自販機前で待っていた。
 付き合い始めたのだから登下校も一緒にするの、という美琴の半ば強引な取り決めに前日混乱していた上条は未だ姿を現さない。もちろんこの自販機を通るのは上条だけではないので、美琴は人影が見える度に一喜一憂し一憂の後は辺りに電撃を撒き散らしている。
 通りがかった学生は自分が何か悪い事をしたかのようにブルブルと震え、そそくさと早足で逃げていく。
 美琴の出す電撃は相当押さえ込まれてるとはいえレベル5クラスなので仮に当たろうものなら気絶は間違いなしだ。このままでは上条が姿を現す前に自販機前に罪も無い学生の山が出来てしまう。急げ、上条当麻。学生の命運は君の両足にかかっている。
 …と、大げさに思っていた白井黒子は公園の木の陰から美琴の事を監視していた。
 白井の監視の原因。それは言うまでも無く上条当麻との関係なのだが、監視をするに至ったのには昨夜の出来事が関係している。


 前日の常盤台女子寮。
 美琴は上条と買い物(塩)をした後に別れて208号室に戻ってきていた。
 ルームメイトの白井は11月22日、学園都市では「いい夫婦になる日」に風紀委員の支部で美琴の告白を予感し、懸命に探していたが結局は見つからず仕舞だった。
 そんな白井が美琴を会ったのは同日の夜で美琴が常盤台の寮に帰ってきた今この瞬間だ。
 白井はもしもの時は申し訳ないと思うも、今日の恐らく起こったであろう美琴の告白の結果が気になり美琴に話かけようとしていたが、美琴の様子を見て思いとどまった。
 何やら妙にハイなのだ。
 美琴は208号室に帰ってくるなりベッドにダイブするし、その後枕を抱きしめたと思ったら今度は携帯を見て何やらニヤニヤしてるし、シャワーを浴びに行った風呂場からは鼻歌が聞こえてくるしと確実に成功したのを物語っていた。
 しかしもしかすると何か他にいい事があっただけなのかもしれない。
 そう思った白井は恐る恐る美琴に尋ねてみると、最初こそあうあうしていたものの暫くして返ってきた返事は予想を遥かに上回っていた答えだった。

「けっ、結婚を前提に付き合ってるの。今日アイツの親と私の親を入れての食事会だったんだけど…、そこで言っちゃった」

 白井はその言葉を聞いた時に、苗字と同じように真っ白になった。
 21日の夜の美琴を見れば翌日に何か凄まじいイベントがあるのは容易に想像出来たハズだ。
 翌日22日も朝の美琴はテンションが下がってはいたが、決してこれから起こる事が嫌な事でないことくらい美琴一筋の自分なら見抜けたに違いない。
 ただ一つ不覚だったのが「いい夫婦になる」という都市伝説があるのを忘れていた事。
 白井はしばらく目の前が真っ暗になり発狂していたが、思いのほか早く自我を取り戻した。そして今度は名前と同じように真っ黒になったのだ。

「(あの類人猿を消し去るしかありませんわ。お姉さまは…、お姉さまは黒子のものですのォーーーーーーーッ!!!!)」

 その夜美琴が幸せそうに寝ているのを横目に、白井はテーブルライトだけ点いた部屋で一人鉄矢に砥石をかけていた。明日起こるであろう上条当麻との決戦のために。

 
 そして今日11月23日。
 白井は普段より30分も早く寮を飛び出し足取り軽く登校している美琴を尾行(ストーキング)している。こんなに早く常盤台中学に行って何をしようというのか。
 しかし、どうやら行き先は常盤台ではないらしい。
 美琴は公園の自販機前まで一気に駆けていくと手ぐしで乱れた髪を直し、誰かを待っているようにキョロキョロと落ち着かない素振りを見せ始めた。
 そこで白井は確信する。美琴は今日抹殺予定の上条当麻を待っていると。あんなにも頬を赤く染めて…、キィィィィ! 許すべからず類人猿んんんんんんんんっ!!!
 茂みの中で隠れていた白井がハンカチを噛み千切ったのと同じ時に、美琴は電撃を撒き散らしていた。流石にこれ以上は被害者が出るだろうと思った白井は茂みから出て止めようとしたその時―――

「おーーう。御坂ー。おまたぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」

 能天気に上条当麻が現れたのだ。散々待たされたのか美琴は上条にレベル5の電撃をぶっ放す。
 上条は慣れてるとは言え、恐怖な事には変わらないらしく美琴のそれを打ち消すと猛ダッシュで駆け寄り命の尊さについて猛抗議した。

「お、おまえなっ! 出会い頭に電撃ぶっ放すなって何度言えば分かるんですかちくちょう! さすがの上条さんにも命というものは一つしかないかけがいの無い物でしてですね―――」
「うっさいうっさい! 今日から一緒に登下校するって言ったでしょ! のんびり行きたいからいつもより30分前にここに着くようにとも言った! それがなんでいつも会う(待ち伏せ)時間を15分もオーバーしてふごっ」
「まぁまぁ。落ち着いて御坂さん。これから上条さんが言い訳…じゃなかった、遅れた理由を言いますんで」
「ふごごごごっ…」
「まず第一に素で忘れていたというこぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」
「…ぱぁっ! すっ、すすすすす素で忘れてたですってぇ!? あ、あああアンタって奴はっ……!」
「うおおおおおおっ!? みみみみ御坂さん落ち着いて! 話せば分かるっ!」
「分かるか! アンタそこを動くんじゃないわよ! 最近編み出した超電磁砲コイン4枚同時撃ちで両手足を根こそぎ打ち抜いて―――」
「待て待て待て! そんな事したらただじゃ済まされないですぞ!」
「アンタが最低なのがいけないんでしょうが! 喰らえっ――」
「わーーーーっ!!!! し、死んじゃう! 上条さん死んじゃうーーーーーっ!!!!」
「はっ!」
「…………………………あ、あれ?」
「し、死んじゃうのは…、困る」
「ええっと…? 御坂さん?」

 美琴は今にも溢れ出さんばかり(いや、既に溢れてはいたんですけどね)の電撃をしまうと、上条に抱きつき胸に顔を埋めた。
 わたくし上条当麻、女の子の柔らかさと香り、そして御坂さんの究極のツンデレに不覚にも頬を赤らめてしまいました。

「ご、ごめんな。たくさん待たせて…、明日からちゃんと時間通りにくるからさ」

 そして美琴の頭を撫でる。
 美琴はひとしきり撫でられると顔を離した。頬は上条よりも真っ赤に染め上げ、目はとろみが出ている。

「うん。待ってるね、えへへ」



 ビリビリビリビリビリッと白井はハンカチ(二枚目)を噛み千切りながらその様子を見ていた。
 美琴との待ち合わせ時間に遅れたのであろう上条は、美琴にガミガミと叱られている様だったが、上条が美琴の頭を撫でた瞬間に美琴の怒りはおさまったらしい。
 上条は抱き合った後遅れた理由として、頭を何かに噛まれたというジェスチャーとしている様だったが、距離を取っていた白井には会話の内容までは聞こえない。
 しかし…、上条と話す美琴は本当に幸せそうに見える。
 昨日カップルになりたてという事で少々ぎこちなさが残るが、自分ではあんな風に美琴を笑わせる事は出来ないだろう。
 ―――――が、今日の白井はどこか違った。打倒上条&愛しのお姉さま奪還を心に誓い、昨日泣きながら夜なべをして磨き上げた鉄矢を装備し、茂みから一気に駆け出した。

「上条当麻ぁぁぁぁぁぁあぁあああぁ! いざ尋常に勝負ですのォォォォォォォぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!」
「げっ!? し、白井っ!!!」

 上条当麻vs白井黒子。幻想殺しvs瞬間移動。
 白井自身を掴めば上条が圧倒的有利だが、その辺りは白井も熟知しており、間合いを取って攻撃してくる。
 瞬間移動で上条の周囲300度(残り60度は美琴に当たらないように)に放った鉄矢を出現させた空間攻撃は、不意をつかれた上条には全く反応できなかった。
 …が、その彼の隣にいた学園都市に7人しかいないレベル5の超電磁砲こと上条当麻の婚約者こと御坂美琴である。

「黒子! やめなさいっ!」

 美琴は、その鉄矢と地面とを磁力で引き合わせ攻撃を回避させた。この間1秒弱。

「ぐっ…な、なぜわたくしの攻撃を…!」
「アンタの生体電気で寮からここまでつけてきているのは分かってたの」
「流石ですわ、お姉さま…」
「黒子、何だってこんな事をしたのよ?」
「…」
「怒らないから。言ってごらん?」
「……寂しかったんですの。お姉さまがどこかに行ってしまうようで」

 白井はそう言うと美琴に抱きつきエンエンと泣き出した。
 美琴は何が起こったのかいまいちよく把握出来ていない上条の方をチラッと見るが、彼は失笑しているだけだった。

「…馬鹿ね。別に黒子の前からいなくなるワケじゃないじゃない。今でも黒子の事は大好きよ?」
「おねえだば…」

 そして美琴の説得もあって殺意が消えた白井は、上条と謝罪の握手を交わす。…ガムのついた手で。

「…。不幸だ…」




「お姉さま。上条さんに夢中になるのは構いませんが、くれぐれも学生として節度を弁えたお付き合いをなさって下さいな!」
「な、なによ黒子…。そんなの私の勝手―――」
「いいえ。付き合い始めて浮かれているからといって、平気で一線を越すお姉さまを知ったらご両親はどのような心中になるか!」
「はっ!」
「中学を卒業し、高校を卒業し、もしかしたら大学、院生まで視野に入れていたお父様とお母様は涙を流し…、うぅ…」
「あわわわわわわわ…、あうあうあうあう」
「確かに結婚は公認したが、しかし! しかしいくらなんでも早すぎるんじゃないだろうか! そんな事を止めれない上条当麻! そんな男に大切な愛娘を任せてはおけない、と二人の交際を無かった事に―――」
「ふにゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!????????」
「…分かってもらえましたか、お姉さま」
「く、黒子ぉ…ありがとう。私が間違っていたわ」
「いいえ。他ならぬお姉さまの為ですもの」
「黒子…」
「(一体さっきからこの子達は何の話をしてるのでせう?)」
「(ケケケケケ。猿がッ! そう簡単にお姉さまを独り占めはさせませんわ! とりあえず最低でも中学卒業まではお姉さまの貞操は安泰ですの)」

 上条は美琴と白井に二人の世界を築きあげられ頭をポリポリと掻きながら溜息を吐いた。
 ところで何か忘れているような…。

「……って、ゲッ! 登校時間ギリギリじゃねぇか!」
「ええええええええっ!?」
「あら、本当ですわね。後5分で遅刻ですわ」
「遅刻ですわ。じゃねぇよ! 急がないと遅刻―――」
「大丈夫ですの。わたくし、テレポーターですので。余裕で間に合いますわ」
「そうだった! 流石白井さん! たまには役に――」
「あら。上条さんは右手がどうとか言って効かないじゃありませんの。早く走った方がよろしいですわ」
「え」
「でわ、わたくし達はこれで。お姉さま。行きますわよ」
「ふぇ? ちょ、ちょっと待っ―――」

 そして美琴と白井は消えた。
 残された上条当麻。朝のホームルームまであと5分を切った。どんなに急いでももう間に合わない。

「不幸だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!」

 それでも懸命に走る。
 いいぜ、あと5分以内で教室に着けないと言うのなら…まずはっ! そのふざけた幻想をぶち殺すっ!



「上条ちゃん! 遅刻はする! 課題は忘れる! ちょっと廊下に立ってるです! ついでに今日の放課後はみっちり個人授業です!」
「はい…」

 上条当麻の右手『幻想殺し』。
 それは異能の力なら神のご加護だろうと全て打ち消す事の出来る未知の能力。
 なので異能の力でない時間などは打ち消せるわけも無く、汗だくになりつつやっとの思いで着いた時にはホームルームが終わって一限目が始まったところだった。
 今日の一限目は小萌先生の授業だったので廊下に立っているだけで済んだが、体育担当のじゃんじゃん言ってる先生だったら校庭30周はかたいだろう。

「あ。メール着てる」

 上条は廊下に立たされてる間とても暇だったので携帯を取り出すと、新着メールが一通入っていた。送り主はもちろん御坂美琴である。


  Time 2010/11/23 08:38
  From 御坂
  Sub  遅刻しなかった?
  ―――――――――――――――
  いかにアンタと言えどあの距離を
  あと5分は無理でしょ?これに懲
  りて明日からはもっと早く来る事
  ね!

  あ、そうそう。
  今日帰りに、はっ、初デートする
  からね!ま、まぁアンタは遅刻し
  そうだから私がアンタの高校まで
  行ってあげるわ!何時に終わるか
  教えて!


 …と、メールでもどもってしまっている美琴の可愛らしいメール見て、上条は『バッチリ遅刻した。あと今日課外授業あるから遅くなるかも』と返信した。
 それを受け取った美琴は我を忘れて席を立ちクラスメイトの注目の的になるのだが、そんな事は上条は知る由もなかった。




 そんな事があった放課後、美琴は上条の通う高校の正門前まで来ていた。
 朝の事もあって美琴は上条に授業中何度かメールを送ったが、返って来たメールはあの一通だけだった。

「ったくあの馬鹿はっ! フィアンセからのメールをことごとく無視し続けるとはいい度胸してるわねっ!」

 などと正門で帯電しながら仁王立ちしている美琴に他の高校生は恐怖していた。
 本編でも学校名すら出ていない高校は、女の子といえど常盤台の制服を着ているだけでレベル3確定な能力者に勝てるわけもなくただただ目を合わせないように通り過ぎるだけだった。
 しかしとある男女のグループがそんな美琴に話しかける。

「んにゃ? あれ…、確か前にカミやんと一緒にいた…」
「ん?」

 そこには土御門と青ピ、吹寄に姫神の姿があった。デルタフォースも今日は上条だけがみっちり絞られてるので、帰っていいと言われたようだ。

「上条当麻ならまだ先生の個人授業を受けてるわよ。まぁ遅刻はするわ課題は忘れるわで当然の報いね」
「しっかしええなぁカミやんは。今は教室で小萌先生と。それが終わったらこんな可愛い子が校門前で待っててくれるんやから」
「ああああ、あの…」
「ところで。さっきあなたフィアンセからのメールとか言ってたけど。」
「ああ、それはオレも気になってたにゃー。一体なんなんだにゃー?」
「えええええっと…、あの、その…」
「…」

 そこで青ピは考える。フィアンセ、今日から一緒に下校、昨日、11月22日、いい夫婦の日………、はっ!

「まさか…、カミやんの奴昨日のいい夫婦の日でこの子に告白されたんとちゃう?」
「…」
「…」
「…」
「…」

 上条当麻の不幸体質は、その現場にいようがいまいが見境無く不幸を訪れさせるようだ。




 その頃上条は小萌先生の個人授業が終わり、机に伏せっていた。
 上条の脳は一日7限目分もの授業時間に耐えられるように出来ていない。と、言うか3限目と6限目で既に煙を上げていたのだ。
 1,2限目は何とか耐えられるが、3限目だけはどうしても耐えられない。それまで先生はわけのわからん英語みたいな日本語をぺちゃくちゃ喋ってるし、問題を指名しようとしてる先生とは必ず目が合って、それで解けなくて不幸になるしでもう…、もうダメだった。
 4限目は次が昼休みなので元気になれる。残り10分を切った何とも言えない時間帯は時が経つのが遅く感じるが。
 5限目も大丈夫。脳を使わないので。もちろん簡単な授業とかでは無く寝てるだけだ。食休み。寝るの大切。
 6限目も普段なら大丈夫な筈なのだが、今日はこの後にまた個人授業がついてくるので上条は頭から煙を上げていた。もしかしたら彼のあの髪型は勉強のし過ぎで爆発した頭なのかも。

「それじゃあ上条ちゃん。明日はちゃんと遅刻しないで来るんですよー? もし遅れたらまた個人授業ですからねー?」

 そう言って小萌先生はよちよちと教室を出て行った。
 上条はそこで携帯を取り出すと、美琴からの溜まりに溜まったメールに驚愕した。

「メール12件…、アイツも授業真剣に受けてないんだなぁ」

 上条は自分と美琴が同類であるのだとしみじみするが、決してそんな事はない。だって第三位だもの。真剣に聞かなくても大体は分かってしまうんだもの。
 上条は学校に美琴が迎えに来ている事を思い出し、ノートやペンケースを鞄に詰め込み教室を後にした。
 1時間くらい待たせているので恐らくは美琴は雷神になっているだろうが、ちょっとでも早く行くことにより雷神からの電撃が弱くなるのだ! …と、思いたい。
 猛ダッシュで校門に向かうと、案の定美琴はそこにいた。しかし何かが変だった。

「…御坂さん? お、おまた…せ?」
「あぅ…」

 美琴は顔を真っ赤にしてモジモジしているだけ。上条からして言えば助かったのだが、ここまで来るのに右手を差し出す予行演習を入念にしていたので予想外の反応に戸惑っている。

「ど、どうしました? 何かあったんでせう?」
「あ、あの…」
「ん?」
「明日の朝のホームルームは気をつけた方がいいかも…」
「???」



「かっ、カップルになったからにはまずは記念撮影よねっ!」

 そう言って上条の手を引っ張って来たのがゲームセンター。そこで記念すべきカップル成立後初のプリクラを取ろうとしていたらしい。

「女の子って何だってそんなに写真とかプリクラが好きなの?」
「ふぇ? わ、私は別に…た、ただ記念よ! き・ね・ん!」

 美琴はゲームセンターに着くなり色々あるプリクラ機からどれがいいかと入念に調べている。上条の事だから全部で撮ろうと言っても撮ってくれるだろうが、2回目からは確実にやる気の無い顔になるに違いない。
 上条も今や美琴の彼氏なので、彼女が楽しそうならそれでいいかと思い美琴の様子を見ているようだ。
 すると、あれでもないこれでもないと探している美琴にとって、運命的と言ってもいい程のプリクラ機を出会った。

「ゲコ太のデコレーションが出来る…! これしかない!」

 恋人の上条には及ばないが、同等クラスの愛を注ぐゲコ太のデコが出来るプリクラ機を見つけた美琴は、上条を中に押し込んでお金を入れた。

「あ、一緒に撮るなら俺も出すよ」
「ん? いいわよ別に。私が撮りたいだけだから」
「んー…、でもなぁ」
「えっとえっとサイズと…」
「聞いてないし…」

 上条が溜息を吐いているのを横目に、美琴はプリクラの撮影設定をどんどん決めていく。しかし全てを決め終わっていざ撮影という所まで肝心な事を忘れていた。

「あ、ポーズ決めてない! えっとえっと…、あ」

 一枚目はあうあうしている美琴を上条がジト目を使い見ているのになってしまった。プリクラは全部で五枚撮れるらしい。

「ちょ、ちょっと! 何かいいポーズないの?」
「そんな事言われましても…、こういうのはノリで撮るもんじゃないの?」
「ノ、ノリ!? じゃ、じゃあ…えいっ!」
「うおっ!?」

 二枚目は美琴が上条の首元に抱きついた瞬間に撮られた。
 ノリでやった美琴も、いきなり美琴に抱きつかれた上条も茹ダコのように真っ赤になっている。
 三枚目は二枚目と同じ構図だが、顔だけ真っ赤になっていた。二人は緊張のあまり動けなくなってしまっていたのだ。けしからん、もっとやれ。




「みっ、みみみみ御坂さん…」
「な、なななななによ」
「こ、このままじゃ…残りの撮影も全部同じ格好になってしまうのでは?」
「う、うん」
「うんって…、ち、違うポーズも織り交ぜた方がいいのではないでしょうか?」
「そ、そうね。でも…なんでか動けないの」
「なんですと? そ、それはどうして」
「ど、ドキドキしすぎちゃって…動けない」
「御坂っ…! お前こんな状態でそんな事言うなんて…! このままじゃ黒歴史をプリクラに残され末代まだ笑われる事に―――」
「ねぇ…、私もうダメみたい…」
「はいぃぃぃぃぃっ!? だ、ダメとか言うな! こっちがダメになりそうだ!」
「ん…」
「えええええええええええええええええええっ!!!!????? な、何でそこで目を瞑るんでせうっ!? せうせうーーーーーーっ!?」
「早くしないと…、もう四枚目だよ…?」
「がああああああああああああああああああああああっ!!!! み、御坂ァ…!」
「んー」
「………ごくりっ。い、いいんだな?」
「う、うん」
「で、では失礼して…、んー」
「………なーんて、ねっ♪」
「んぐっ!?」

 美琴は上条がキスする状態に成るや否や、頬を両手で挟んでカメラの方に強引に捻じ曲げた。
 その瞬間シャッターが押され、苦痛で顔を歪める前の、顔を真っ赤にしながらカメラに向かって唇を差し出す上条のドアップが撮影されたのだ。

「あっはっはっはっ! こっ、これは確かに黒歴史ね! こんなの見たら一生笑われ続けるわ! あっはっは!」
「て、テメェ…人の決死の思い&純情な心を弄びやがって…!」
「なによー、いいじゃんこれくらい。今までの溜まり溜まったツケだと思えばさ」
「ツケなんか付けた覚えはないんですけど!」
「うっさいわねー。男はそんな細かい事気にしないでいいの。ほら、もうすぐ五枚目よ?」
「…」
「そうねー、最後は…、んー…」
「…御坂」
「ふぇ?」



 出来事には攻守があり、攻める時は攻めて守るべき時にはしっかりと守る。そういう立ち回りが出来る人間が成功するのだ。
 先程の上条は守りに失敗し某デフェンダーのようにオウンゴールをしてしまったが、そのお陰でプレーは中断され今度はこちらからのキックオフだ。
 そう上条当麻の逆襲劇の火ぶたが切って落とされた。上条は美琴の両肩を掴むと真剣な眼差しで語り出したのだ。

「あああああああああの…!」
「御坂さん。上条さんはもう辛抱たまりません」
「そっ、そんな事言ってさっきの仕返しをしようってんでしょ!? そ、そんな手には乗らないんだからっ!」
「そっか。ダメか…」
「あ…」
「まぁダメなら仕方ないですよね。はぁ…、上条さんはとても悲しいです…」
「あ、あの…ホントに?」
「…本当です」
「じゃ、じゃあさ…その、あの…」
「んー」
「ふぇぇぇぇぇっ!? わ、私からなのっ!?」
「さっきは御坂さんが待ってたんで、今度は上条さんが待つ番だと思って」
「そっ、そそそそそそそれは…」
「早くしないと五枚目来ちゃうよー」
「じゃ、じゃあ。ん、んんーー…」
「………なーんて、むぐっ―――」

 どうやら上条当麻の攻撃陣はボールを持たずにただ走っていただけのようだ。
 いつのまに攻守が逆転したのか、上条は二失点目を喫した。否。この場合は1ゴールなのだろうが。

「んんっ、んー」
「―――はっ、はぁ…」
「み、御坂さん…」
「…えへ」
「みさっ――」
「ふにゃー」
「えええええええええええええええっ!!!????? 自分からしておいてええええええええええっ!!!????」

 これが五枚目にもバッチリ映されていた二人のファーストキスだった。
 しかし美琴が気絶してしまったのでこのプリクラにはデコレーションされる事なく、意識を取り戻した美琴はもう一度プリクラを撮ろうと哀願したのだった。




「今日は課題出たの?」

 上条と美琴はゲームセンターを出ると、バス停にて常盤台女子寮行きのバスを待っていた。
 今日は上条が帰るのが遅かったのに加え、美琴がさっきまで気絶してたのでそろそろ完全下校時刻なのだ。

「いや、今日は出てないけど。明日また遅刻しようものならまた個人授業だって」
「ようはアンタが家を早く出ればいいんじゃない。私が言ったのと合わせても一石二鳥よ。遅刻はしない、かっ…彼女と登校できる。完璧っ!」
「彼女ねぇ…」
「な、なによ。何か文句あんの?」
「だってさぁ世間の彼女様は愛しの彼氏に電撃飛ばしたりアンタ呼ばわりしないと思うのですが? その辺りどう思います? 彼女さま?」
「うっ…、それはアンタが」
「ほらまたアンタって。俺には上条当麻ってちゃんとした名前があるんですよ?」
「ううううっ…、かっ、上条…先輩?」
「……うわ。何か今鳥肌たったわ」
「なんでよ! こ、このっ…!」
「うわああああああ、お、落ち着け! その…なんだ、うん。当麻でいいよ、普通に当麻」
「とうっ―――」
「あ、あれ? 御坂さん?」
「ふにゃー」
「またかよ…」

 美琴がふにゃーとしたのと同時に女子寮経由のバスが来たようだ。
 上条は美琴をおぶるとバスに乗り込んだ。もちろん男が女の子を、しかも常盤台の子をおんぶしてバスに乗る光景は珍しいのか注目の的になっている。
 上条は真っ赤にまった顔を伏せ、いそいそと最後尾の席まで歩いていき美琴を座らせた。

「お、おい御坂。大丈夫か?」
「ふにゃー?」
「ダメか…」

 上条は女子寮の前までバスが来ると、またしても注目を浴び恥ずかしそうに降りていった。




「んっ…」

 美琴は上条がバスを降りた瞬間に目を覚ます。
 あ、そうだ。これからバスに乗って寮に…って、あれ? もう寮の前…なんで? って何か温かいわね…、ん?

「…」
「みーさかさーん。もう着きましたよー。起きてくださいよー」
「…」

 あれ。なに私。コイツにおんぶされてるんですけど。何かとっても温かくて気持ちいいんですけど。

「御坂さんってばー、ったく…」
「…」

 美琴はバス停から寮の玄関までの僅かな時間だったが、ちょっとだけ抱きしめる力を強め幸せな一時を味わう事にした。顔に触れるツンツンな髪の毛がくすぐったい。上条の体は服の上からだと想像出来ないようなガッシリとした体だった。

「えへへ」
「ん? あれ御坂さん。起きたの?」
「うん。でももう少しこのままがいい…」
「つってももう玄関先なんですが」
「中の扉まで連れてけー」
「…はいはい」

 上条は寮の二重扉の外側を頑張って空けると、インターホンが付いてる内側の扉まで来た。美琴はそこに着いても、しがみ付いてなかなか降りようとしなかったが、上条が「終点ですよ?」と言うと諦めたように上条から離れた。

「じゃあな、御坂。また明日」
「う、うん。明日は遅れないでね?」
「わかってるって。じゃあ、おやすみ」
「う、うん。…あ、メール! メール送るからちゃんと返してね!」
「はいはい」
「えへ。おやすみ、とっ…当麻」
「おやすみ、御坂」

 こうして上条当麻と御坂美琴の恋人生活一日目が終了したのだった。



 否。まだ終わっていない。

「お姉さまーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」

 寮のドアを開くと、白井がテレポートして現われ美琴にしがみ付いてきた。何やら相当に焦っているらしく顔は恐怖一色だ。

「ど、どうしたのよ黒子! 何かあったの!?」
「にっ、逃げてくださいましお姉さまっ…! あの方が…あの方が来ますわっ…!」
「あの方? …ん?」
「きっ、来ましたわっ! ひぃぃぃ…」

 白井が美琴の慎ましい胸の中でガタガタと震えていると、カツーンカツーンという音と共に寮の奥から眼鏡を光らせた寮監が現われた。

「白井ー…、ダメじゃないか。寮の中で能力の仕様は禁止だろう?」
「お、お姉さまっ…」
「へっ? 寮監? 逃げるって…私まだ時間内よね?」
「おやおや、御坂じゃないか。丁度良かった…うふ」
「え」
「いやぁ…、おめでとう御坂。何でも昨日の『いい夫婦になる日』で告白したら結婚まで前提に付き合えてるそうじゃないかぁ…いやぁ、目出度いな。ホントウニメデタイ」
「ふぇ? ど、どこでそれを…」
「そこで震えている白井がブツブツ一人で言ってるのを聞いてなぁ…」
「…黒子あんたっ!」
「ごめんなさいですのごめんなさいですの!」
「で、でもそれが…どうして?」
「私は未だに恋人も出来ていないんだよぉ…。やっと好きになった人もあろう事か私よりも遥かに年上の熟女好きだったとは…、くふふ」
「…」
「悲しい…。私は悲しいよ、御坂、白井…。今日は就寝時間は気にしないでいいから朝まで私の愚痴を付き合ってはもらえないか?」

 どうやら上条当麻の不幸がちょっとだけ美琴にもついてきたようだ。
 その夜、美琴が上条にメールする事は無かった。




 翌日。今日は昨日とは反対で上条が美琴の事を自販機の前で待っていた。

「あんの野郎ォ…、俺には遅れるなとか言っておいて自分で遅れるとはいい根性してるじゃねぇかァ…」

 上条はイライラして待つも、美琴のように電撃を撒き散らす事は出来ないので携帯で昨日の昼間着た美琴のメールを読み直していた。
 一通一通のメールでご丁寧に題名は変えてるし、ここでは表現出来ないが可愛らしい絵文字もたくさん使っている。まぁそれに返信する上条のメールはたまに顔文字がある程度の真っ黒なメールなのだが。
 そして上条がメールを読み直していると、ドドドドドドという地鳴りと共に御坂美琴が現われた。美琴は猛スピードでコーナーを曲がる為、遠心力に耐え切れなくなった体は大きな弧を描くが、備えてある街灯と自分とを磁力で引き合わせ最短の距離で近づいてくる。
 道行く学生も上条も、そんな美琴を口を開けて眺めていた。

「ご、ごめん。寝坊しちゃって…」

 美琴は上条の前まで来ると、何事も無かったように乱れた髪を直してそう言った。
 どうやら俺は時間に間に合おうとする気持ちが足りなかったのかもしれないな。このくらい全力で駆けて来ないと間に合うものも間に合わないというものだ、うん。

「…? ど、どうかした? もしかして、遅れた事怒ってる?」

 上条がそんな事を思ってると、美琴は不安そうに上条の顔を覗きこんできた。
 美琴も昨日あれだけ騒いでおいて自分が遅刻するなんて、と思ってはいたが昨夜は夜中三時まで寮監と楽しい(?)お話タイムがあったので寝たのが四時前だった。

「うぅ…、ご、ごめん。昨日あまり寝てなくて…」
「へっ? いや、まぁ…まだいつもの時間だからさ。遅刻にはならないからいいよ。うん」
「ほんと?」
「あぁ。上条さんも勉強させてもらいました」
「???」

 なので上条はそんな美琴を許してあげる事にした。




 二人は公園を出ると、上条の高校と常盤台中学までの分かれ道まで一緒に登校する。
 昨日は何だかんだ言って待ち合わせはしたが、白井が美琴を瞬間移動で連れて行ったしまったから一緒に登校は出来なかった。美琴は付き合う前には、上条の事を追いかけたり待ち伏せしたりなどと一緒に登校していたが、肩を並べて楽しく話しながら…なんてのは初めての体験だった。

「(あうあうあう…)」

 美琴は上条との登校が気持ちよくてあうあうしながら頭からプスプスと煙を上げているが、何とかふにゃー化するのは抑えている。

「そういやさ、今日のホームルームで何があるって?」
「ふぇ?」
「昨日言ってただろ? 明日のホームルームは気をつけろって」
「あ、あー…、それは…、その…」
「ん?」
「昨日ね、アン…と、当麻を待ってる時ににゃーにゃー言ってる人と関西弁の人とおでこな人と黒髪の人に会って」
「…土御門と青ピと吹寄に姫神か。んで?」
「……言っちゃったの」
「言った? 言ったって…何を?」
「その…、つ、付き合ってる事…とか?」
「ぶっ! お前何て事を―――」
「い、いいでしょ別に! 何も悪いことしてるワケじゃないんだから!」
「いやそれでもですね。男の友情と言うのは固く結ばれているが、脆く儚く消え去ることもあるというとなんというか…」
「はぁ?」
「……ん? とか? お前まさか結婚前提って事も言ったんじゃないだろうな?」
「…」
「…」
「…えへ」
「…………不幸だ」

 上条はこれから起こりえるであろう恐怖の時間に顔を青くする。
 それは血と涙に染まる教室。いや、しかし諦めるな。諦めたらそこでうんたらかんたらだ、うん。
 上条は美琴と別れると力強く歩きながら学校へ向かった。その日『上条当麻』は死んだ―――、そうならない為に。生きるために。




「判決を言い渡す。被告人は起立せよ」
「はい…」

 上条は今裁判所と言う名の教室にいる。
 廊下側に二組、窓側に二組、中央に一組ある机椅子。そして他の机はご丁寧に全て廊下に出されており、残りの椅子は教室の奥の方に綺麗に並べられていた。
 その椅子一つ一つにクラスメイトが鬼の形相で座ってるし、検察側からは土御門と姫神に睨まれるし、裁判長の青ピは妙に役に入ってるし、弁護側には誰も座ってないし、黒板にはでかでかと『カミやん病事件』と書かれているしで色々と不幸だった。
 この裁判所は三審制で第一審、第二審共に上条は死刑判決だった。もちろん上条は控訴、上告を行ったのだが「上告理由にあたらない」とワケの分からん事を言われて第三審の裁判は却下された。ちなみに一時間目は都合のいいように自習だった。上条にとってはこの上なく都合悪いが。

「もう一度だけ聞きます。被告人上条当麻は、その恋人と本当に健全なお付き合いをなさっておるんですか? 結婚の約束までしておいて?」
「そ、それだけはハッキリと自信を持って言えます。俺達は何もやましい事をしているワケでは無く、一学生として節度あるお付き合いを―――」
「嘘ばっかつくんじゃないにゃー! オレはカミやんの隣の部屋だからよぉく知ってるぜぃ! 昨日の夜はうるさくて寝れなかったにゃー!」
「土御門テメェーーーーッ!!! よくもそんな嘘偽りデタラメをっ! デルタフォースの結束はどうしたーーーーッ!!!」
「うるせぇにゃーカミやん! そんなもんはとうの昔に崩壊したぜよっ!」
「11月22日だったら私もメール送ったのに返事が無かった。」
「私もよ!」
「私も!」
「私だって!」
「あたしもそうよ!」
「(上条ォ…!)」
「いやそれにつきましては本当に申し訳無いの一言なんですよ。マナーモードにしててですね? メールに気付いたのが次の日の朝でですね」
「そんなの信用出来ない。私達のメールを無視し常盤台の子と宜しくやってたに違いない。」
「たっ、確かにその子といたのは事実ですけど…」
「酷いよ上条くん! 私にあんな激しくしておいて!(危ないところを助けてもらっただけだけど)」
「えぇっ!?」
「私の事は遊びだったの!? うぅ…(買い物袋持ってもらっただけだけど)」
「はいぃぃぃっ!?」
「駄フラグ駄フラグ言ってたからカミやんの事信じてたのに…」
「つ、土御門…」
「はいはい静粛に。ここは一つ、もう一度あの方に決めてもらいましょ」
「…」
「吹寄! 助けてくれぇーーーーーーっ!!!」

 どこにいたのかあの方こと吹寄制理は、長い髪を払い上条の前に立った。

「確かに上条当麻には情状酌量の余地はあるわ。男女の交際は本人達の自由だしね」
「さ、さすが吹寄委員長! 話が分か―――」
「でも」
「る?」
「死刑」
「「「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!」」」」」」」」」」
「不幸だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!」




 そんな事があった放課後、上条当麻はトボトボと校門へ向けて歩いていた。
 一限目の『カミやん病事件』は第二審で死刑判決が下されボコボコにされると、昨日撮った美琴とのプリクラを携帯に送った待ち受けを見られて再度ボコボコにされた。
 …という展開にはさすがにならなく、小萌先生がどこからかやってきて止めに入ってくれたのだが、今の今までクラスメイトにしつこく質問攻めにあってクタクタになっていたのだ。

「あ。と、当麻ー」

 上条が校門まで着くと、そこには既に美琴が待っており上条を見つけると元気に走り寄ってきた。

「きょ、今日は早かったわね」
「…御坂たん」
「ふぇ?」

 上条は美琴が来るなり優しく抱きしめた。今まで一緒にいたクラスメイトが悪魔なら、彼女の美琴は天使や女神様に見えたのだ。

「ああああああああのっ! その…、あうあうあう」
「御坂たん。御坂たんだけだ、上条さんに優しいのは…うぅ」
「ふぇ? あ、や、やっぱり…朝ヤバかったの?」
「はい…」
「ご、ごめんね。私が余計な事言わなければ…」
「いやいや。まぁ何だかんだで皆にも分かってもらえたんで大丈夫ですよ」
「皆? い、一体何があったのよ?」
「実は―――」

「―――てな事がありまして」
「ちょ、ちょっと待って! 色々聞きたい事はあるけど、アンタ一体何人の子からメールなり電話なり貰ってたのよっ!?」
「10人くらい?」
「…」

 美琴は恐怖した。この手を離したら一瞬にして他の女に上条はかっ去られるという恐怖感に。
 そしてそんな女の子に心の中で謝りつつも、御坂美琴は上条当麻を一生愛し続けると再度固く誓ったのだった。

「そんな心配する必要はねぇだろ。あんな激しい告白されて、上条さんはもうメロメロですよ」
「えへへ。嬉し♪ でもあまり告白の事は言わないで。思い出しただけでも恥ずかしくて死んじゃいそうだわ」

 そう言って美琴は上条の胸に真っ赤になった顔を埋めた。もう二人は立派なバカップルなようだ。
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