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 1月2日。上条当麻と御坂美琴の夫婦生活は5日目。元旦で夫婦生活4日目である1月1日は深夜に寝たために起きるのが正午近くになってしまい、御坂家にいる親御さん達も昼は初詣などに出かけていて改めての挨拶だけで終わった。
 しかし昨日の夜に美琴は初めて上条のワイシャツを攻略。頭からプスプスと湯気を出すもレベル5の名にかけて4日連続ふにゃーはプライドが許さない。…まぁ、上条の前に最早プライドも何も無くっているような気もするが。
 そして今日は神奈川を出て学園都市に戻る日である。レベル0の上条はそれ程外出許可に厳しくされないが、7人しかいないレベル5の美琴はそうはいかない。29日から2日までの5日前後がギリギリらしい。
 学園都市から実家に帰ってくる時もそうだったが結構な移動距離なので、門限がある美琴の事を考えると早めに出たほうがいい。
 しかし今や愛の巣と化している上条のマンションを美琴がそう簡単に出るわけ―――

「美琴ー、そろそろ出るぞー」
「わかったー」

 ―――ないのだが、何故かすんなりまとめてあった荷物を持って玄関にやってくる。あやしい。

「ねぇねぇ。この表札貰って行っちゃってもいい?」
「ん? 別にいいと思うけど…、どうするんですか?」
「…当麻の部屋に―――」
「ダメ」
「うっ」

 表札とは美鈴が用意したのであろう『上条 当麻 美琴』の表札。それは部屋のネームプレートみたいに作られた板状のもので、それを外すと『上条』の文字が出てくる。
 上条の寮には使えそうにない表札だったが、美琴は「裏に両面テープを張る」だとか何とか言っている。もし仮に隣の土御門に見つかったり他の寮生に見つかろうものなら上履きの中に画鋲だろう。教室の椅子にも画鋲だろう。それは多分痛いので美琴には分かってもらわないといけない。やっと和解したばかりなのでね。

「じゃあ磁石付けて冷蔵庫につける」
「まぁそれくらいならいいけど」
「えへ」

 美琴はその表札を大切にゲコ太タオルで包むと上条のバックの中に入れた。何故上条のバックなのかと言うと、美琴のバックは昨日のうちに今日の着替え分だけ出して学園都市の常盤台女子寮に郵送したのだ。やたら本が重いので。

「また来たいね」
「そうだな。夏休みにでもまた来るか」
「ホントに? やった」
「じゃあ行こうぜ。父さん達が待ってる」
「うん」

 上条はそう言うと先に歩きエレベーターのボタンを押す。美琴はやはり少々名残惜しいのかしばらく部屋の中を見ていたが、上条に呼ばれたので鍵を閉めて走ってきた。
 エレベーターの中で美琴は上条の腕に抱きつき幸せそうに笑っている。

「…どしたの美琴たん」
「えへへ、別に」




 マンションの前には既に刀夜達が待っていた。刀夜は寒そうに手に息をかけ暖めており、詩菜は美鈴と何やら世間話でもしてるのか、旅掛はタバコをすぱすぱと吸っていた。
 上条と美琴は刀夜達と合流すると駅に向かって歩き出す。その時に通る御坂家もしばらくは見納めだ。改めて見ると隣の家よりも1.5倍は大きい。流石です、旅掛さん。

「美琴ちゃんよく帰りたくなーいってだだこねなかったね」
「そっ、そんな子供じゃないわよ! …あ、詩菜さん。ありがとうございました。これ部屋の鍵です」
「はい。美琴さん、楽しめましたか? また来てくださいね」
「は、はい。絶対来ます!」
「美琴ちゃんもお母さんにそれくらい優しければ―――」
「…何か言った?」
「イイエ。ナニモ」
「ったく…」
「うぅ…、当麻くん。美琴ちゃんがいじめるー」
「え? だめだろ美琴」
「あぅ…」

 美琴のプレッシャーに美鈴は上条の後ろに隠れ、弱点をつく。今この状態なら美琴はグー、美鈴はチョキ、上条はパーなので美琴は上条に勝つことは出来ない。
 上条はそのパーの右手で美琴の頭を優しく撫でると美琴はもう戦意喪失してしまう。美鈴には子供じゃないと言うが、美琴はまだまだ頭を撫でられただけで喜んでしまうお子様だったのだ。
 ち、違うわよ? 私は喜んでるんじゃなくて…そう! 効かないから! 当麻の右手には何も効かないからごにょごにょ…。

「あはは、美琴ちゃんは相変わらず当麻くんには弱いのね。これから何かあったら当麻くんに助けてもらおう」
「なっ…! ひ、卑怯よそんな―――」
「あー、当麻くんたすけてー」
「落ち着いて、美琴たん」
「うっ」

 もう美琴は美鈴に勝てる事はないだろう。もともと美琴の考えてる事をピンポイントで当ててくる母の勘に加え、美琴が手を出せない上条も味方につけられてはもうあうあうするしかないのだ。あうあう…。





「ここまででいいよ、ホームまでだとお金かかるしさ。ありがとな」

 上条は11月22日の時に言ったような言葉で見送りを感謝する。時刻は昼前な事もあり、皆初詣に行ってるのか駅には疎らにしか人はいなかった。これから遠出をする人は少ないだろうが、帰省を終えた人なのか大きなバックを持ってる人などがいる。
 時刻表を見るとあと5分後くらいに丁度いい学園都市方面の電車が出るらしいので、これに合わせる事にした。

「じゃあ…、また夏休みにでも帰ってくるから」
「おぉ、待ってるよ。元気でな、当麻。美琴さん。体に気をつけて」
「元気でね当麻さん。美琴さん」
「は、はいっ。お世話になりました! また必ず―――」
「美琴ちゃん…しばらく会えないパパにさよならのチュいでででででっ!」
「ま・た・ね」
「うぅ…」
「私も大学で近くに行ったら遊びに行くねー。んー、そうね。その時は当麻くんのお部屋に泊めてもらおうかな」
「なっ!? そ、そんなのダメよ!」
「何で美琴ちゃんがダメなのよ」
「うっ…そ、それはその……あぅ」
「あはは、ほら。長旅なんだからトイレ行っといた方がいいわよ。行った行った」
「はい。じゃあ父さん、母さんまたな。美鈴さん、旅掛さんもお元気で」
「わっはっはっ! 俺たちはいつも元気さ。美琴ちゃんの結婚式で晴れ姿を見なきゃいけないしね!」
「けっ、けっこ―――! …ふにゃー」
「お、おい美琴…、そ、それじゃまたー、あははー」
「あはは、美琴ちゃんをよろしくねぇー」

 そして上条は美琴をずるずると引きずり刀夜達と別れホームに消えた。電車に乗る前にトイレに行っておいた方がよかったのだろうが、美琴は絶賛ふにゃー中だし諦めよう。
 エスカレーターを上がると係員やホームのベルが電車到着が間近なのを知らせてくれる。やってきた電車にも疎らに人が乗っているだけで、これから乗る乗客と合わせても空席が目立ちそうだ。
 上条は二人用の席に陣取ると、美琴を寄りかかれる壁側にする。…が、美琴は上条の肩の方がお気に入りなのか壁に寄りかかる事はない。こっちの方が温かいし気持ちいいしー。えへ。
 やがて電車のドアが閉まりゆっくり走り出すとホームでは見えなかった外の景色が見えてくる。ふと外を見ると、ネット状の壁の向こうで美鈴が手を振ってくれていた。上条も軽く手を上げるとそれに気付いた旅掛や刀夜、詩菜も手を振ってくれているが電車は徐々にスピードを上げ、すぐに美鈴達が見えなくなってしまった。さようなら神奈川。さようなら父さん母さん旅掛さん美鈴さん。また夏休みに。





 上条と美琴は電車に揺られ学園都市に帰ってきた。中に入る時にゲートでIDの確認やら何やらを精密に検査するが、レベル0の上条は美琴程念入りではない。なので一緒に入っても美琴は上条より後にぐったりと出てくるのだ。
 美琴は外に出た時と同じく「これだけは面倒くさいわね、ホントに」と溜息を吐くしかなかった。
 昼前に神奈川に出た上条たちが学園都市に入り、第七学区に着いた時には日はすっかり沈んでいて、美琴の門限までもう少しだった。

「じゃあ行くか。寮まで送るよ」
「大丈夫」
「え? そ、そうか? じゃあ…、また―――」
「当麻の部屋行くから」
「なー…んだって?」
「今日は当麻の部屋に泊まる」
「はい? だってお前門限があるだろ?」
「ふふん。実は学園都市外への外出は5日だけど、寮には新学期前日まで地元に帰るって言ってあるの」
「おまっ―――! …そんな事していいのかよってか出来るのかよ」
「寮監には何も言われなかったけどー?」
「だ、だから実家の時すんなり帰ったのか…。おかしいと思ったぜ」
「えへ」

 美琴はしてやったりな顔をすると上条の腕を取り、馴染みのスーパーへ向かった。実家に帰る前に魚とか買い溜めしておいたけど、今は三が日なのでセールもやっていて安いだろうと考えたのだ。この夫婦生活で、お嬢様の美琴もお金の感覚を相当になおしたらしい。ちょっとづつだが、いい奥さんに向かっているようだ。
 上条も夫婦生活で慣れたのか以前程は美琴を泊めてはいけないと思わなかったらしく、しかも常盤台の門限も無いのなら美琴は何を言おうと無駄なのも知っていたのでお泊りを認めたのだ。自分が実家に帰ってる間に小萌先生にお世話になっているインデックスには冬休みの間はそこにいてもらおう。

「さっ。今日は何食べたい? セール中だし…、ちょっとだけ奮発しちゃう?」
「そうなー…、じゃあ…シーフードカレー!」
「…アンタカレー好きねぇ」
「美琴が言った甘いけど辛いカレーが食べたい」
「あは、いいわよ作ってあげる。この五日間で相当煮込んであるからとびっきりの甘辛になってるわ」
「期待してるぜ、美琴たーん」
「たん言うな」





 スーパーはやはりと言っていい三が日セールがやっていて、お節の食材やら蟹やらが大売出ししていた。嬉しい事にその食材の裏でもちゃんとしたセールがやっており、普段のこの時間なら学生はいないのだが今日はまだまだ買い物客で溢れていた。
 上条と美琴はカートを引いて青果や鮮魚コーナーを回る。シーフードカレーにするなら野菜やら海老などが必要になってくるので割引のやつを狙わなくては。
 神奈川と学園都市では単価が違うのか、美琴はうーんと悩んで商品を選ぶ。もちろんセールをしてるので安いと言えば安いのだが、神奈川に比べたら魚介は高いようだ。主婦美琴は買い物上手になっていた。しかしこのままでは魚介が入らないシーフードカレーになりかねないので、上条は冷凍食品に目をつける。本格的なものでなくとも安いならそっちの方がいいし、海老などもないよりあった方がいい。
 夫婦生活が終わってもバッチリ夫婦な上条当麻と御坂美琴。

「だっはっ! 重かったーっ!」
「お疲れ様。今日は私一人で作るから当麻は休んでて」
「ありがとー、美琴たーん」
「たん言うなっつの」

 上条と美琴は学生寮に帰ってくるといつものやりとりをする。上条は両手いっぱいの戦利品入りの袋をキッチンに、そしてこれからは美琴の腕の見せ所。愛しい旦那に美味しい料理を振舞わなくては。
 今日のメニューはクリスマスの時に話していた美琴特製の辛いんだけど甘いカレー。美琴はクリスマスの時に指輪の一件でなかなか料理に取り掛かれなかったが、もうその件についてはクリアしてるので大丈夫だ。指輪を外してネックレスに…、でも涙目。
 そのカレーは作り方は一緒だが今日は究極のスパイスがある。そのスパイスは5日間の夫婦生活で深めた絆で、一度料理に入れようものなら全く別の味になるだろう。それに今回はご飯のセットも忘れない。
 料理を作ってる美琴はどこか楽しそうで、鼻歌を歌いながらアク抜きをしてたり、おたまでかき回したりしている。上条も美琴の歌をお供にテーブルの上を掃除していた。テレビのリモコンは床に、漫画は本棚に、教科書は鞄に、課題はゴミ箱……あ。
 そして暫くすると美琴がお盆に乗せ二人分のカレーライスを持ってきた。

「うんまそーですね」
「ま、まだ食べてみないと」
「じゃあ…、いっただっきまー…んむっ」
「…」
「もぐもぐ…」
「あぅ…」
「…ごくん」
「あぅあぅ…」
「…美琴たん」
「ふぇ?」
「結婚してください」
「…ふにゃー」

 上条当麻は美琴特製シーフード甘辛カレーの前に屈した。その後はふにゃふにゃしてる美琴をなだめながら涙を流し「うまいうまいぞぉーっ!」と、どんどんかっこんでいく。そのカレーは上条のみ味わう事が出来る究極の味。とても温かく、甘く、それでいて辛いカレーだった。美琴たん、上条さん家に米だけはあるっていってもこんなすぐにもぐもぐ…。
 御坂美琴は料理の面でもどんどんとパワーアップし、着々と上条美琴への階段を上がっているようだ。





「いやっ! 絶対帰らない!」
「絶対帰れ!」
「帰らない!」
「ダメったらダメです!」
「ふぇぇぇぇ……」

 美琴はだだをこねていた。今日は学園都市に帰って4日目で明日から新学期という日。この四日間もばっちり上条の部屋にお世話になっていた美琴は、今日は常盤台に申告した帰宅日なので帰らなくてはいけない。神奈川の実家から帰る時に美鈴の「よく帰りたくないってだだこねなかったわね」発言に「そんな子供じゃないわよ!」と堂々と言い放ったのだが、もう今や完璧に子供に退化しているようだ。
 実家から出る時にはまだ美琴の中には上条との同棲ライフが待っていたのでまだ持ちこたえられたのだが、今日からは常盤台の門限上お泊り無しの生活が始まる。
 なので美琴はだだをこねていたのだ。上条なら何とか言えば泊めてもらえると思ったのだが、美琴の予想に反して上条はダメの一点張りだ。上条サイドからしたら門限がないから泊めてあげてただけなので、今日は帰らせないと美琴にも悪いのだ。

「美琴たん。分かってくださいよ、もういっぱい遊んだじゃないですか」
「まだぁ…、もっどいっばいあぞぶー…」
「じゃあ明日の放課後にでも―――」
「ぶぇぇぇ…」
「あああぁぁ…わーったよ、しょうがねぇなぁ……」
「ぇぇぇ…?」
「寮まで送ってやるから」
「ふにゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!?????」

 美琴は上条の正面から無視すんなやコラー!タックルを決め、床に押し倒した。不意をつかれた上条は久しぶりのタックルにぶふっと言う。その後美琴は真っ赤な顔を見せるが、あの時とは大分表情が違う。あの時は恥ずかしさ100%って感じだったが、今回は…えっと、うん。とにかく恥ずかしくて顔を真っ赤にしてるわけではなさそうだ。
 上条も何とか泊めてあげたいと思う。この部屋に帰ったらやろうとしていた冬休みの課題も美琴先生の教えで2日とかからなかったし、思わずプロポーズしてしまう程のおいしい料理も食べさせてもらった。…が、しかし! くっ…! なので上条は秘密兵器を出す事にしたのだ。

「美琴」
「…ふぇ?」

 上条がポケットに手を入れてゴソゴソとしだすと、一度見せた真っ赤な顔を上条の胸に押し当てていた美琴もゆっくりと顔を上げる。もう上条のシャツは美琴の涙でぐっしょりだった。

「これなーんだ?」 
「…!」

 上条がポケットから出したもの。それは―――

「それ…、鍵…よね」
「そう。この部屋の合鍵です」
「!!!」
「さぁどうする美琴たん! 今日帰るのならこの合鍵をあげようじゃないか!」
「うっ…! 今日泊まって、その鍵も貰うっていうのは…?」
「そんなのダメに決まってんでしょ!」
「うぅ…、でも…」
「あー、もう選ぶ時間がー」
「ふぇ!? あああああああああのっ…!」
「はい。美琴たん」
「…………………………………………………………………………………鍵、ちょうだい」
「…じゃあ今日は帰るんだな?」
「……うん」
「鍵貰ったからって明日から泊まるってのも無しですよ?」
「…うん」
「じゃあ…、ほら」
「えへ」

 こうして美琴嬢は帰っていったのだ。部屋は違えど、この指輪ある限りお互い好いている限り上条美琴に変わりはない。
 か、彼氏が合鍵をくれるって事はアレでしょ? いつでもおいでって事でしょ? えへ、えへへ。






 ――――が、そんな上条美琴さんにも立ちふさがる壁があった。それは常盤台女子寮208号室にて起こる。
 その壁とは美琴の久しぶりの帰宅に歓喜する白井ではなく(お預けを喰らって開放された犬のように盛んになってはいるが)寝る時の、そうパジャマに問題があったのだ。
 上条の寮に寝泊りする際にはやはりと言っていいワイシャツを借り上条の隣で彼を抱き枕にして寝ていたのだが、今日は上条もいなければワイシャツも無い。こんな状態ではとても寝れたもんじゃない。

「(ほ、ホントに寝れない…。どうしよう…)」

 美琴は冗談ではなく、本当に寝れないらしい。お風呂に入った後だし、上条の匂いがなくなってしまったのだ。美琴は家事においてはパワーアップしたが、対上条属性に関してはこの上なくダウンしていた。
 冬の寒さも相まって一緒にいるだけで感じる上条の温かさも、全身を包んでくれているようなワイシャツも無い。美琴は関心した。実家に帰る前の自分を。アンタすごいわね。どんな能力者?
 
「(うぅ…、当麻に会いたい…)」

 美琴は何度も何度も寝返りをうっては当麻当麻とモジモジする。体も分かっているのだ。今の自分には上条当麻が足りないと。でも今日は寮からは出れないし我慢するしかない。美琴はこんな状態になるなら上条のワイシャツだけでも封印した方が良かったと多少なりとも自分に後悔している。そういえば実家に帰った2日目でも美鈴に注意されたような…、あぅ…。
 だって気持ちいいんだもん。全身で当麻を感じれるんだもん。あうあう…。
 ところで隣のベッドの白井はどうしたのだろうか。寝る前に土産話(つまりは上条との生活の話)をして以来真っ白になって動かない。まぁ…、変に襲われるよりはマシだけどさ。
 すると寝れずにいた美琴のゲコ太携帯が何かを受信したのか着信音を奏でた。美琴はビックリしたが、白井を起こしてしまうと何かと面倒なのでイントロクイズ並の速さで着信音を消す。その美琴の顔は頬を染め、笑み一色だった。何故か。それは聞き慣れた上条当麻だけのメール着信音だったからだ。
 美琴はドキドキとそのメールを開くと―――



 Time 2011/01/07 01:22
 From 当麻
 Sub
 ―――――――――――――――
 おやすみ美琴



「えへ」

 上条のメールはたった6文字だったが、今の美琴には十分な内容だった。今寝れば上条と一緒の夢を見れるかもしれないし、自分が寝れないのを分かっててメールしてくれたのかもしれない。
 それは美琴には分からないが、そう考えるだけで離れていても上条はずっと傍にいると感じさせてくれる。
 美琴は小さく笑うと上条に返信し、画面を待ち受けに戻した。そこには内緒で撮った上条の寝顔があり、美琴に安心を与えてくれている。さらに安心で思い出したのか美琴は携帯を閉じるとクリスマスの時にプレゼントされた指輪に手をかけた。これこそが美琴にこの上ない安心を与えてくれる。
 指輪を見てさらに頬を染めると、美琴はゆっくりと瞳を閉じた。さっきまでの寒さはない。さっきまでの寂しさもない。今は常盤台のベッドの上にいるが、美琴は上条を感じる事が出来る。

「えへへ」

 美琴はもう一度小さく笑うと心地よい睡魔に襲われ夢の中へと入っていった。その安心を感じるようにしっかりと左手を抱きしめて。
 おやすみ、当麻ぁ…。
 こうして上条当麻と御坂美琴のいちゃいちゃ年末年始は終わりを迎えた。机の上には先程上条から貰った鍵と一緒に美琴のお気に入りゲコ太キーホルダーがキラキラ輝いていた。
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