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 時は上条当麻と御坂美琴が付き合い始めた11月22日より半年後の夏休み。
 上条は高校2年生、美琴は中学3年生になり、美琴は今冬に高校入試を控えていた。
 美琴が狙っている高校、それは上条が通う高校……ではなく常盤台中学から卒業する生徒が一番多く進学する有名校であった。
 上条はてっきりこのツンデレ電撃姫はアンタと同じ高校に通う! …と言い出すものと思っていたが、そうではないようだ。
 何となく疑問に思った上条は美琴に理由を聞いてみるが、

「ふぅん? 当麻くんは私と一緒に登校できなくて寂しいんだ? 可愛い所があるのね」

 …などと言い出した。上条は何をぅと思いそれ以来理由は追求しなかったのだが、皆さんにだけその理由を教えよう。
 それは『距離』。
 美琴は仮に上条の高校に入学したとしても一緒に登下校出来る期間は一年と短い。その上、上条が奇跡的に大学生になったら大学生の学区である第五学区へ行くために第七学区南部にある上条の高校付近からでは少々距離がある(学区自体は隣合わせではあるが)。
 そこで美琴は上条の高校を狙わず、より第五学区に近い(という設定)の高校&寮にしたのだ。
 つまり何が言いたいかと言うと、美琴は短い半同棲高校ライフより長い通い妻高校ライフを選んだというわけだ。同じ高校での生活も魅力的だが、総合的に考えた結果こっちの方がより上条といれると考えたらしい。
 さらに美琴が選んだ高校の寮は、当たり前だが寮生が全員高校生以上という事で常盤台の寮よりは規則も緩いし門限も無いらしい。セキュリティがずば抜けてる点を除いては今の上条の寮と何ら変わらないようだ。そこも決め手の一つとなっている。
 という事は満16歳の美琴はどうするか。今は分からないが、多分その寮での生活費が一番少ないのは恐らく美琴であろう。理由? それはその…、うん。そう。
 しかしそんな事を今、上条に言おうものなら正座させられた上で、美琴が言った台詞が倍返しで返ってくるので理由は言わないらしい。

 そして今、美琴は上条の部屋にて高校受験に向けて勉強中なのだが、上条も上条で折角勉強仲間兼家庭教師がいるので1年後に控えている大学受験へ向けて中学生の問題から一緒に勉強しているのだった。…が、常盤台の教材と上条の高校の教材はレベルが違う。常盤台中学は卒業後には一流企業に通用するレベルになるらしいので、上条からして言えばこっちが中学生で高校受験を控えているような気がするのだ。
 更に突然だが物語には語られない部分も多数存在する。読者側からして言えば何でそこを書かないのと言われてもおかしくないのだが、理由という名の言い訳をさせてもらうなら、いい案が浮かばなかったからである。自分のSSはこの強引さこそが売りで、好き勝手書ける楽しさなのだ。


「ここのxに4を代入するの。そしたら答え出るでしょ?」
「おぉ。流石美琴さんですね。ふんふん」
「アンタも一年前に比べると大分出来るようになったわね」
「学校では先生もいいですし、それ以外には優秀な家庭教師様がいらっしゃるので」
「あはは。ほら、さっさと今日の分終わらせちゃおう」
「うぃ」

 美琴の旦那調教は学業まで伸びており、付き合ってから課題なり予習なり復習なりを手伝い、教え込んでいたら上条はちょっとづつだが頭が良くなってきたのだ(補習を受けない程度)。つまりは継続は力なり。夏休みの課題&大学受験への勉強もまとめてやるのでは無く、一日にちょっとづつでもやるのが大切なのです。
 うんうん。その調子その調子。
 ちなみに自分は中学3年生で初めて3単現のsをやっと理解した頭脳の持ち主。上条さんにとても共感します。はい。


「おっしゃー、今日の分終わりー」
「お疲れ様。じゃあちょっと休んだら買い物行こ」
「おぉ」
「…」
「あー、背筋っ」
「…」
「ん? あぁ、そうだった。おいで、美琴たん」
「えへ」

 勉強が終わり、これからはフリータイムなのだが美琴は何故かモジモジし出した。これは2人で勉強を始めてからは毎回の事なのだが、美琴は上条に勉強疲れを癒してほしく、甘えに行きたいのである。しかしツンデレレベル5の美琴はそんな事は言い出せないのでモジモジする他ないのだ。
 そして上条がその事に気付き美琴の事を呼ぶと、美琴は嬉しそうにテーブルをハイハイで回り、上条座椅子に寄りかかった。夏休みでこれは相当の暑さなのだが、クーラーがあるので大丈夫! 一年の間にとある事情により大破した備え付けの古いエアコンではないピッカピカの最新式なので電気代も安い! …と言っても寮住まいなので一緒なのだが。

「ねぇ当麻ー、今日何食べたいー?」
「そうなー、暑いし…冷やし中華とかいいですね」
「いいね」
「だろ? んんー…、何か眠くなってきたな」
「私も。ここ、寝心地がいいのよね」
「ちょっとだけ寝ようぜ。買い物は起きてからでもいいだろ」
「うん。でもタイムセールには間に合うようにしなきゃね」
「そうな。じゃあ毛布取ってくるからちょっと離れてくださーい」
「いや」
「……あのな。クーラーついてるんだから風邪ひいちゃいますよ?」
「じゃあ、1枚を2人で使う」
「はいはい。それでいいから」
「えへ」

 そう言うと美琴は満足したように上条から離れた。そして上条は立ち上がるとベランダで干していた毛布を取りに行く。…が、窓から見る外の景色は相当に危険だ。暑さで空間が歪んでるぜ。
 学園都市は巨大な壁で覆われているためか他の地域よりも風が少ない。…と、思う。地面は大半がアスファルトかレンガ作りなので反射した日光が跳ね返り更に体感温度を高める。科学の先を行く学園都市製のコンクリート達だが、これには耐え切れないようだ。


「うっはぁぁ…」

 上条がベランダに出ると、やはり室内とは相当の温度差だった。眼鏡をかけている人なら一瞬にして曇るだろう。干してあった毛布や敷布団達もこの暑さで完璧に天日乾しされ、ふっかふかだ…けれども、今この布団で寝る気にはなれない。

「すまん、美琴。寝るの床でもいい? 布団が相当の熱さに仕上がってる」
「いいわよ、別に」

 美琴は文句言うわけもなくすんなりOKする。忘れてしまうかもだが、美琴はお嬢様なのだ。決して床で寝るような女の子じゃないのだが、特に渋る様子もない。理由は何故か。それはその…、うん。そう。

「よいしょっと、大丈夫か美琴たん。ちゃんと全部かかってる?」
「…も、もうちょっと」
「やっぱ長さ足りねぇんだよ。もう一枚―――」
「っ…」

 部屋に戻り、美琴と一緒に一枚の毛布で昼寝しようとするが如何せん一人用の毛布のため二人は納まりきらない。それで上条は2枚目を持ってこようとするのだが、美琴は毛布から出ようとする上条のシャツを掴んで離さない。そして無言の俯き。
 こ、これは美琴がやってほしい事とは違う対応をした時の反応! つまり―――

「…ほら。これでいいか?」
「……えへ」

 上条は美琴に更に寄り添ってギュッと抱きしめてあげた。美琴は大満足なのか掴んでいたシャツを離し、変わりに上条の腰に手を回して胸にえへへ顔を埋める。
 正解を導き出した美琴マスター上条当麻は美琴の後頭部を優しく撫でると先程のと合わせて更に気持ちよい睡魔に襲われる。うと、うと…。

「あー…、美琴たん、いい匂い…」
「ふにゅ…」
「ん…」

 そして2人は眠りに落ちた。クーラーで冷えた体を心地よい温かさが緩和する。
 これは深い眠りになっちゃうかも…、ふにゃー。

 ……。


 しばらくするとトントントントンという音で上条は目を覚ました。結構寝てしまったのか窓にはカーテンが閉められているが真っ暗である事が分かる。
 一緒に寝ていたはずの美琴は隣にいなく、音がする方を見てみると、その美琴がエプロンをつけて料理をしているところだった。

「あれ…」
「あ、起きたー?」
「すまん美琴たん。結構寝ちまった。…もしかして買い物一人で行った?」
「うぅん。私もさっき起きたばっかり。今からじゃ門限に間に合わないから残り物で夕食作ってるけど…、いいよね?」
「全然OKっすよ。ごめんな」
「い、いいわよ別に。私だって寝すぎちゃったんだから」

 そう言うと美琴はプスプスと頭から煙を出し料理に戻った。いつもは一緒に料理している上条夫婦(仮)だが、今日は上条が寝起きで寝ぼけているであろうから美琴が作る事にする。
 汁物も作っているのか小皿におたまでよそって、味見をしているようだ。うん。美味しい。えへへ。
 そんな美琴の後ろ姿を寝ぼけ眼でぽけーっと見ていた上条は何ともいえない感じになった。あれ…、俺は「不幸」が代名詞だったのに…超幸せな気がする……。
 しばらくすると「できたわよー」という声と共におぼんを持った美琴がすたすたと歩いてきた。今日のメニューは肉野菜炒めになめこの味噌汁だ。うまそう。夏場での肉はスタミナをアップさせる。

「…って、あれ? お前の分は?」
「私はいいわよ。寮でご飯でるし」
「そっか。じゃあすみませんが、いただきます」
「どーぞ」
「もぐもぐ…うまっ」
「えへ」

 美味かった。野菜もきちんと摂取出来る健康メニューは美琴の手によって食べやすい味に調理され、箸が止まる事はない。

「…」
「えへへ」
「…」
「えへへ」
「…あの」
「ふぇ? な、なに?」

 あった。箸が止まる事。それは―――

「そ、そんな凝視され続けると少々食べにくいんですが…」
「うっ…。わ、私そんなに見てた?」
「それはもう。珍獣でも見てるのかってくらいに」
「あぅ…」

 美琴の料理がない分、上条が食事している時は美琴は暇なので上条の食事の様子を見ていたのだが、その視線が気になってなかなか箸が進まなくなっていた。
 美琴もお腹が減って食べたいのかと問うとどうやらそうではないらしい。では何故か?

「あ、アンタが…私の料理を美味しそうに食べてくれてるから…」

 …と美琴は顔を真っ赤にし、頭からプスプスと煙をあげ、モジモジしながら答えた。
 上条は箸で掴んでいたご飯をポロっと落とし暫くフリーズした。何かもう…可愛かったからだ。この目の前の小動物のような彼女が。



「明日はバイトなのよね?」
「おぉ。9時から5時まで」

 食事が終わると美琴は上条と一緒に食器を洗い、帰り支度をして玄関に立っていた。常盤台指定の制服は一年前よりも少しだが胸のエンブレムが盛り上がっているような…いないような?
 夏休みという事で部屋に泊まると言ってきかないのかと思ったが、約半年前に上条から合鍵を貰って以来部屋に泊まると言った事は少ない。
 そして美琴が言う上条のバイト。内容は夏休み限定の第六学区にある遊園地内のレストランのウエイター。交通費支給、時給そこそこ。…と美琴には言ってあるが、美琴が上条の仕事ぶりを見る事はない。
 理由は簡単。ウエイターじゃないから。本当はマスコットゲコ太の着ぐるみを着ての風船配りだ。しかしそんな事をこの『ゲコ太をこの上なく愛でる会』会長の御坂美琴に言ったが最後、一人でそのゲコ太の回りをくるくると回り、全ての風船を持って行きかねない。
 そして上条はバイトの理由として、年末年始の時に美琴に言った『夏休みにまた来るか』と言った交通費と、親御さんへのお土産代を稼いでいるのだ。残りは貯金。…は出来ません。多分全部食費です。

「じゃあまた明後日ね」
「ホントにいいのか? 送んなくて」
「うん。今日は一人で帰りたい気分だから」
「そっか。じゃあありがとな。飯に勉強」
「いいわよ、じゃあまたね! 当麻!」
「またな、美琴」



「ふーふふん、ふーふふん、ふんふんふーん♪」

 美琴は常盤台の自分の部屋に帰ってくるなり風呂場に直行した。夏場で外が暗いという事は結構な時間だという事。それに加え上条の寮から美琴の寮までの程よい距離を考えると門限に間に合わない可能性が高いのだが、そこは見事にクリアしたらしい。…大量の汗と体力を消耗して。

「お姉さま、今日もご機嫌ですわ」

 白井黒子は風呂場から聞こえる美琴の鼻歌をお供に風紀委員の仕事を片付けていた。
 一年前の白井ならば、美琴のいる風呂場にムレムレだの濡れ濡れだの言って直行するだろうが、今の白井はそんな事はしない。精々下着を漁る程度だ。…あれ?

「えへへ」

 美琴は浴室が出てくるといち早く外した指輪を薬指にはめる。クリスマスに貰った上条からの夫婦の証。上条は安物と言っていたが、これは全然傷んではいない。
 半年くらいではどんなアクセサリーでもそれ程傷まないだろうが、この指輪はこれからも色あせる事はないだろう。上条の愛を受けている限り、美琴の幸せでコーティングされているのだから。


「そういえば明日は暇なのよねー」
「あ、お姉さまが出てまいりましたわ。ちょっと待ってくださいまし」
「ん?」

 パジャマ姿の美琴がタオルで髪の毛をワシャワシャと拭きながら脱衣所から出てくると、白井は携帯っぽくない携帯で誰かと話してたようでチラリと美琴の方を見てきた。白井の携帯こそ学園都市で一番の最先端技術だと思う。使いにくそうだけど。

「お姉さま。明日はお暇でしょうか?」
「明日? まぁ、暇だけど?」
「初春と佐天さんが一緒に遊園地に行こうと誘ってきたのですがどうでしょう? たまには受験勉強の息抜きにでもどうかって」
「遊園地!? い、行く!」
「…? もしもし? お姉さまも行けるみたいですわ。…はい。では朝9時に第七学区の駅で」
「何だって?」
「朝9時に駅前に集合になりました。でもお姉さま…そんなすんなりOKして大丈夫でしょうけど、大丈夫ですの?」
「ま、まぁ。たまには息抜きも必要でしょ! うん」
「???」

 翌日、遊園地から帰ってきた美琴が両手に大量のゲコ太風船を持ってくるのを、この時部屋で柿ピーを食べている上条は知る由もなかった。


 そして翌日の夕方。

「上条君。素晴らしい風船捌きだったよ。時給30円UPさせよう」
「マジですか!」

 上条当麻の不幸は、幸せの幸せな女神により打ち消されている。

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